〒955-0083 新潟県三条市荒町2丁目25番33号
産婦人科・不妊治療

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産婦人科・不妊治療

一般不妊治療

当院では、排卵誘発や人工授精(AIH)などの一般不妊治療を行っております。

排卵誘発について

排卵がうまくいっていない場合

体温を記録する写真

基礎体温が二相性になっていなかったり、超音波で見たときに卵の発育が悪いようですと、排卵がきちんと起きていない可能性があります。
卵が育たなかったり、育っても排卵しない、良い状態で排卵しない場合などがあります。
まずは、原因をよく調べることからはじめます。

基礎体温と超音波検査で、排卵の有無と黄体機能(ホルモンの状態)を調べます。排卵があり、ホルモンも分泌されて黄体機能が正常に働いているようなら、排卵に問題はありません。
しかし、排卵はあってもホルモンの分泌がやや悪いという場合には、排卵誘発やホルモン療法で妊娠に必要な環境を整えていきます。

排卵誘発剤の助けで治療

間脳の視床下部を出発点に、脳下垂体や副腎皮質、卵巣などで性ホルモンが様々な指令を出す流れがあります。
「卵子を作りなさい」「排卵を起こしなさい」「排卵後、内膜の状態をととのえなさい」などです。

この性ホルモンの流れのどこに問題があるのかをチェックします。
これらは、強いストレスやダイエット、過食などで混乱し機能が衰えてしまうことがあるので気をつけましょう。

中枢性の分泌障害は、薬を使えばほぼ100%治療することができます。
卵巣機能さえ低下していなければ、外から性腺刺激ホルモンを投与することで、ホルモンの流れを正常にととのえ、排卵をおこすことが可能なのです。

薬の必要性と副作用

不妊治療で排卵誘発剤を使うとなると、副作用のことが気になる方もいらっしゃるでしょう。確かに、効果は高いけれど副作用もときにはおこります。
だからといって、「排卵誘発効果は高いけれど副作用が強いから悪い薬」「排卵誘発効果は低いけれど副作用が少ないから良い薬」とは断定できません。例えば、軽い排卵誘発剤を飲めばすぐにも妊娠する可能性の高い人が、治療を中断してしまうのは残念なことです。

副作用を予防するために、排卵誘発剤のさまざまな使い方が研究されています。薬は、必要があるからこそ使うものです。薬によって得られる効果と副作用のバランスを冷静に考え、納得したうえで使いたいものですね。

不妊治療に使われる主な薬

薬剤名 目的 副作用
シクロフェニル

無排卵症、無月経、希発月経の人のための排卵誘発

添付文書には頭痛・めまい・OHSS(卵巣過剰刺激症候群)等が書かれているが、実際には副作用が出ることはほとんどない。

クロミフェン

無排卵症、無月経、希発月経の人のための排卵誘発。過排卵刺激や黄体機能不全の治療にも使われることがある。

多胎の発生率は約6%。OHSSをまれに起こすこともあるが重症にはならない。目がかすむ・頭痛等の症状が出たら主治医に申し出る。更年期障害の症状が出ることがある。

hMG

無排卵症の人のための排卵誘発、人工授精、体外受精、顕微授精などの際の「過排卵刺激」に使われる。

多胎の発生率はhMG-hCG療法で約20%。OHSSは卵巣のはれだけでおさまることもあるが、血栓症・脳梗塞・呼吸困難・肺水腫・卵巣破裂・卵巣茎捻転などがおきる場合もある。注射した部位に発赤などの過敏症状、一時的な発熱や関節痛をおこす場合もある。

hCG

クロミフェンやhMGで卵胞を成熟させたとに投与して、排卵を起こす。排卵後に黄体機能を維持するために使われることもあ

クロミフェンやhMGとの相互作用で、OHSSを起こす場合がある。hMGで多数の卵胞ができても、最後にhCGを投与しなければ重症のOHSSになることはほとんどない

GnRHa

本来は子宮内膜症の治療薬。体外受精などの際に採卵前に排卵しないようにする目的で使われる。

ほてり、膣乾燥などの更年期症状。採卵をコントロールするための短い使用は副作用がおきることは少ない。

ブロモクリプチン

高プロラクチン血症の治療薬。

悪心、嘔吐。めまい、立ちくらみ、頭痛が起きることもある。また、アルコールや抗生物質(エリスロマイシン)などで作用が増強されることがあるので注意。

黄体ホルモン

無月経、黄体機能不全の治療薬。

月経前に起きるような、むくみ・乳房緊満感・頭痛・眠気・食欲不振・悪心などが起きることもある。発疹などの過敏症状が出たら、主治医に申し出て薬をかえた方がよい。

卵胞ホルモン

早発卵巣不全の治療や、凍結受精卵の胚移植の際のホルモン補充などに使われる。

貼布剤では、皮膚の発赤、かゆみ、色素沈着が起きることもある。

人工授精(AIH)について

人工授精(AIH)

精子が子宮内に到達しにくい時、人工的に精子を子宮内に入れるのが人工授精です。
本来、精子数の少ない方に施行する方法ですが、タイミング指導や排卵誘発でなかなか妊娠しない方にも応用されています。
超音波などで排卵日を特定するところはタイミング指導と同じです。

「○日にAIHをしましょう」ということになりましたら、○日の朝、マスターベーションで精液を容器に採取します。当院では、精子を弱らせないための液体をお渡しいたしますので、容器内の精液に混ぜてご持参ください。
ご持参いただいた精液を洗浄・濃縮して、元気の良い精子を集めます。時に賦活します。きれいな精子をソフトシリコンチューブを用い、子宮口を通して子宮内へ注入します。注入操作は、1分ほどで痛みはありません。
時に、ダグラス窩に注入する腹腔内人工授精をすることもあります。

人工妊娠のイラスト

人工授精は受精が体内で起きる、より自然に近い治療法です

「人工」という名称がついているために、こだわりを感じる人もいるかもしれませんが、精子を子宮に送り込んだあとは、受精も着床も自然妊娠と同じように行われる、自然に近い方法だといえます。

人工授精が治療法として適している不妊原因としては、男性女性双方にいくつか考えられます。
まず、男性不妊では、精子数が1ccあたり2000万個以下の乏精子症、精子の運動率が悪い場合、性機能障害で女性の膣内に射精できない場合、逆行性射精で膀胱から精子を回収したときなどは、人工授精を試みます。

また、女性側の原因としては、頸管粘液の分泌が不足していて精子が子宮内に入りにくい場合や、不妊の原因がわからない機能性不妊でも、人工授精を試みることがあります。
人工授精を受けるためには、きちんと排卵が起きて卵管も通っていることが前提条件になります。